あなたのために。-光と影-
風間さんは苦笑いしながら白兎を見て、次には真剣な表情で私の膝を枕にして横になる奴を見た。
「……若」
奴は何も言わずに風間さんを一瞬見て、また目を閉じた。
返事くらいしたらどうなの。
そう言ってやりたくなったけど、いつものことなのか風間さんは特に気にした様子もなく続けたから何も言わなかった。
「…3日後の夜7時、清蓮(せいれん)でとのことです」
セイレン…
私の知識が正しければそこは政治家から極道のお偉い方だけが入れる高級料亭の名前。
蓮条組の会合か何かの日程だろうか。
なんて考えてると奴に握られていた左手が手持ちぶさたになり、奴の手は次には私の頬に移動した。
反射的に奴を見下ろす。
「小夜。お前と話したいと言ってる奴がいる」
奴がその人の名前を言った瞬間、私は全身が震えた。