あなたのために。-光と影-




納得いかないことばかりで膝の上に乗る手を強く握った瞬間。




「源次が苦しんでいることは知っていた。
それなのに助けられずに、君の大切な家族を最悪の結末へと導いてしまった。


儂がもっと早くに源次を助けていれば、源次も美代子さんも死なずに済んだかもしれん。
そしたら君と日向さんはこんな辛い思いしなくて済んだはずだ。


助けてやれずに本当に申し訳ない……!」




どうして……




どうして極道一家の組長ともあろう人が、私のような凡人に頭を下げているの?




私はあなたを殺そうとしてるんだよ?




それに助ける?
お父さんを苦しめたの間違いじゃなくて?




だってお父さんは蓮条穣之介からお金を借りて、その借金から逃げるようにして自殺した。




そのはずなのにどうしてこの人はお父さんを助けようとしたみたいな言い方をするの?




「…私……の父をた、助けようとした……のは…本当なんですか……?」




必死に声を絞り出して聞きたいことを声にした。




お願い。
お願いだから、私の人生をかけた復讐劇を無駄にするような答えを言わないで。




本当はお前の父親が憎くて自殺まで追い込んだんだって悪徳ぶった顔で言って。




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