あなたのために。-光と影-




「…源次の借金を儂が肩代わりすると言った。
でも奴は……小夜さん、君なら父親の性格は分かるだろう?」




お父さんは人のことを誰よりも心配してた。




私と日向のことだって、


「学校は楽しいか?」


「ちゃんと宿題やったか?」


「遅くなるようなら迎え行くから電話しなさい」


「何かあったらすぐ電話するんだぞ?」




一つ一つを心配してはしつこいくらいにいろんなことを言ってきた。




でも私達がお父さんのことを心配すると、お父さんは必ず笑顔でこう言っていた。




「…だいじょう、ぶ………」


「…そう。あいつは笑顔でそう言うだけなんだよなぁ。
儂が無理矢理にでも肩代わりしときゃよかった……!」




悪徳ぶって言うどころか、今にも泣きそうな顔をして握り締めた拳を震わせている。




違う。こんな展開、違う。




「でも小夜さん。君のことは必ず蓮条が守り通して見せる。
源次の大切な家族を、源次の代わりに守らせてくれ」


「もちろんあなたの妹の日向ちゃんも私達が守るわ」




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