あなたのために。-光と影-
やめてよ。
これ以上話を進めないで。
私の今までの人生を狂わす方へと向かわないで。
「じじい。こいつマティーニが作れる」
「……っ!」
「ほぉ!そうか!儂はマティーニが大好きなんだ。
小夜さん…いや、小夜ちゃんどうか儂に作ってくれんか?」
この話の後にどうしてこいつは…
「…穣之介様のお口に合うか…分かりませんが……作らせて…いただきます…」
調理場を借りて一人になる。
震える手で胸元から白い粉状の薬を取り出す。
屋敷を出る前に奴からもらったこれは、以前奴を殺そうとして手に入れた毒薬。
あのタイミングであいつは私を試すようなことをした。
"真実を知って、お前はどうする?殺すか?"
奴はそんな目をして私を見てきた。