あなたのために。-光と影-
"真実を知って、お前はどうする?殺すか?"
あいつのあの目が頭から離れない。
あの目は最初から全てを知っていて、私を試した証拠だ。
私は最初から奴の掌の上で転がされていた。
転がされたままに、私は蓮条穣之介を殺せなかった。
恨んでも恨みきれないくらい憎かったら、どれだけ良かっただろう。
「……ほんと、何やってんだろう」
自分のこの小さな手を汚して、手首を折ってまで遂げようとした私の復讐劇は私に何の利益をもたらした?
ただ汚れて、ただ足掻いただけ。
「ふ、……」
自分がしてきたことが無意味すぎて可笑しくなる。