あなたのために。-光と影-
枕が落ちて奴の切れ長な目とかち合う。
獲物を狩るような目から逸らせない。
負けじと奴を睨む。
するといきなり両頬を奴の大きな手に挟まれて引き寄せられる。
奴と鼻先がくっつくまで一センチもないくらい。
「そうだ。俺はお前のその目に惚れたんだ。
どんなことにも屈しない、その強い目に」
あなたが私のどこに惚れたかなんて今は関係ないでしょ?
どうしてそれを今言うの。
「だからお前はその強い目で、お前が成し遂げたいことをしろ。
大切なものを守るでも、例えそれが人を殺すことであってもだ」
「…っ」
どうしてこの人は私の復讐をここまで応援しようとするの?
私はあなたの父親を殺そうとしてたんだよ?
でももうその復讐は終わり。
だって蓮条穣之介は私の家族を崩壊させるどころか助けようとしていたんだから。
だからこんな強い目をして生きてなんていけない。
もう生きるための目標がないんだから。