あなたのために。-光と影-
「…ねぇ。ママ、日向。
人を好きになるってどういうことなの?」
「「………」」
しばらくの沈黙の後に二人は笑い出した。
「アハハッ!小夜もそんなこと言う歳になったんだね」
「…ほんとですね」
「え、な、何がおかしいの!?
というか日向は同じ歳でしょ!?」
頬を膨らませて二人を睨めばママは優しく微笑んで私の頭を撫でた。
「好きになるって言葉で言い表すのは難しいけど。
…そうだねぇ…その人からあたたかいものを感じたり、その人の言葉一つ一つがスッと体に入り込んだりすることかね?」
ママの言葉は恋愛のれの字も知らない私にとっては難しかった。
「ママの言ってること当たってると思うよ?」
「日向わかるの!?」
「なんとなく、だけどね?
私だって小夜ちゃんと同じで誰かを好きになったことなんてないから。
好きってその人の隣にいると安心したり落ち着いたり、その人の傍にいても嫌と思わなかったりすることじゃないかな?
……あとは…」
日向が言いかけて、二人は顔を見合わせた。
そして二人は同時に声を出す。
「「…女の直感!」」