あなたのために。-光と影-
胸の谷間に入れておいた"物"を取り出す。
これは田中さんから貰った"毒"。
田中さんは薬品系の会社の社長、毒なんて簡単に手に入る。
だから親しくした。
全てはこれを手に入れるために。
これを奴のカクテルに入れれば奴に復讐できる。
でもそれは奴を殺すということ。
そう考えると急に手が震え出した。
何で今頃震え出すの?
もうとっくに覚悟はできてたのに…
奴は関東一の日本屈指の極道の若頭。
私が奴を殺せば、きっと私はただじゃ済まないのは分かりきってる。
あんなに良くしてくれた陽くんや白兎さんにも冷たい目で見られるだろう。
きっと暴力も振ってくるに違いない。
だって陽くん達にとって奴は大事な人。
復讐は新たな復讐を呼ぶとはこのことかと実感する。
でも復讐を果たせれば私は死んだって構わない。
家族の無念を晴らせれば後はどうなったっていい。
陽くん達に殺されても構わない。
でも私がいなくなれば、あの子は悲しむのかな。
あなたがこの世からいなくなるまで生きていようと思っていたけど、それも叶いそうにない。