あなたのために。-光と影-




抵抗できないままでいると、突然奴が大きな音をたててベッドから転がり落ちた。




「はいそこまで~。小夜ちゃんの診察の時間で~す」


「は、華代さん…!」


「…チッ」




楓をベッドから落としたのは白兎の奥さんで看護師の華代さん。




そういえば今日は華代さんの診察日だった。




骨折してから華代さんは数日に一回の頻度で怪我の具合を見に来てくれている。
そのおかげか華代さんとはかなり親しくなった。




途中で強制終了させられた楓は不機嫌のままシャワーを浴びに行ってしまった。




その間に華代さんに診察してもらった。




「…うん。折れてるところはだいぶ良くなってるかな。
腫れも引いてるし。今度先生にも見てもらいましょう」


「…先生?」


「そう。蓮条組専属の医師。ほんとは最初から先生に診てもらえばいいんだけどね。
先生、表向きは開業医だから忙しくて」




表向きって…
なんだか怪しい匂いしかしない。




< 193 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop