あなたのために。-光と影-
「…私に何をしろと言うの…?」
怯まないように鋭い目で奴を睨む。
話が早いとでも言うかのように奴の口角が上がる。
どうせ奴の言うことは大体検討がつく。
この街から出て行けだの、性欲に飢える男共の相手をしろだの、この毒を自ら飲めと言ったところだろ。
覚悟はしてた。
もし計画を実行する前に奴に見つかってしまったら、こういうことはされるだろうと考えてはいた。
でも必ず成功させるから、こうなる確率は低いだろうと思っていた。
実際、確率の低い方に当たってしまった、それだけのこと。
ただそれだけ。
だから何の抵抗もない。
殴りたければ死ぬまで殴ればいい。
この毒を飲ませたいのなら自ら飲んでやる。
死ぬ覚悟はとっくに出来てる。
性欲に飢えた男共とヤれというのならそこに放てばいい。
私の身体は既に汚れているから、何も恐れることはない。
全てを覚悟していた私に、奴はとんでもないことを口にする。
それは私の考えなかったというか、考えつかなかったものだった。