あなたのために。-光と影-
2話 爪跡
「逃がさねぇ…」
そう言いながら奴は私を何回も抱いた。
意識が飛んで、目を覚ませばまた抱かれその繰り返し。
数時間で一体何回奴と身体を重ねたのだろう。
それが分からないくらい奴は激しく私を抱いた。
私の中に入れては抜いてまた入れる、そればかりを奴は繰り返していた。
まるで私を自分のものにするかのように。
そんなのは有り得ないが。
所詮、奴にとって女は性欲処理でしかない。
女嫌いの奴に女を愛すことなんてない、あるわけない。
そう思っていたのは最初だけだとは今の私は気付かない。