あなたのために。-光と影-




意識が飛んで何時間経ったのだろう。
私はゆっくりと目を開けた。




隣には奴が背を向けて眠っているのが見える。
その光景を見て、私は奴とのことを思い出す。




そうだ、私復讐し損ねた奴に抱かれたんだ。




お金を貰うという条件をつけて、私は奴に抱かれたんだ。




身体の節々が痛むのを堪えながらゆっくりと起き上がる。
そして奴を見下すように見つめる。




何回抱かれたか分からないほど、奴は私を繰り返し抱いていたが、その中で一度も奴は私の唇に自分の唇を重ねなかった。




私を抱いてきた男共は大体始めは唇を重ねることから始める。




でも奴はそれを全くしようともしなかった。




私の服を脱がせて、唇を首筋につけてきた。




所詮、私は性欲処理の存在でしかないと身に染みる。




身に染みたところで、奴には何も感じないが。




抱かれた時も態とらしく声を出した時もあった。
そうすれば奴等は大体ノってくるから。




奴は謎だらけだ。
目を見れば誰かを殺そうとしてることが分かる特殊能力があったり、女嫌いのくせに私を抱かせろと言ってきたり、唇を重ねずに何回も抱いたり。




奴の目的が読めない。




ふと奴の頭上に目をやると、札束らしきものが置かれていた。




厚さから見て、かなりあると見える。




何故そんなに?
たった一夜の情事でそんなにお金をくれる?




まぁ貰えるのならいいけど。



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