あなたのために。-光と影-
ゆっくりと手を伸ばし、後もう少しで札束に手が届きそうなところで…
ガシッ
爆睡していた筈の奴に手首を掴まれる。
もしかしてずっと起きて…
頭の中で考えていた途中、視界がベッドから天井へと切り替わった。
奴に再び押し倒された。
両手首をしっかりとベッドに押し付けられ、身動きが取れない。
だから奴の顔を見ることしか出来ない。
奴も私をジッと睨むように切れ長の目で見つめている。
その目は寝起きでないことが分かる。
「…ずっと寝たフリをしていたの?」
小声で言いながら、私も負けじと奴を睨むように見つめる。
私の問いには無視して、奴は私に問いかける。
「…何故そんなに金が必要なんだ?」