あなたのために。-光と影-
「…なら金をやれば、俺のものになるか?」
ホントにどうしたの、奴は。
何度も言うけど、奴は女嫌い。
そんな奴が俺のものになるか?口が裂けても言わないだろう。
調べたデータには、一生独身ということが書かれていたけど…
何が本当で何が正しいのか、分からなくなってきた。
でもこれだけは言える。
「…幾らお金を払われても私はあなたのものにはならない」
そう、私は誰のものにもならない。
私の命はあの子のためにあるのだから。
奴のものになるくらいなら、死んでやる。
そんな目つきで奴を見る。
だが、奴は笑みを絶やさない。
奴はただでさえ無愛想な坊ちゃんと言われてるのに。
その笑みも次の瞬間には企みに変わった…