あなたのために。-光と影-
顔を逸らしたことで露わになった首筋に奴の唇が這う。
チクリとした痛みが首筋に走った。
その痛みの後には傷口を舐めるかのように舌で舐められた。
え、今のって…
首筋につけられた、奴の爪跡を。
やだやだやだやだ!
こんな奴の跡なんかいらない!
「ちょっ、やめ…っ!」
私の手首を抑える力が弱ったから、奴を押し返そうと力を入れた。
だが、すぐに奴は片手で私の両手を私の頭上に力強く拘束した。
そしてまた走る、チクリとした痛みと跡を舐める舌の感覚。
これで私を手に入れようとしてるわけ?
こんなのつけたところで私の心は手に入らないのを分かってるの?
そんなことをお構いなしに奴は、空いた片手で私の着ている黒いワイシャツのボタンを器用に外して行く。
チクリと痛みが走ってはまたチクリと痛みがやってきた。
拒絶を示そうと顔を反対側に逸らしても、奴は反対側の首筋に痛みを走らせる。
「…んっ、やめ、て…」