あなたのために。-光と影-




「またあんたたちミーティングサボったね?」


「…っ!ママ!」




鏡越しに見えた姿と聞こえてきた声にすぐ反応してその美しい女性(ひと)に飛びついた。




「そんな勢いよく来るとせっかくの化粧が落ちるわよ?
…って聞いてないわ、この子ったら」




白地に黒い蝶の模様をあしらった着物を身につけるママはどん底まで落とされた私を拾ってくれた母親のような人。




ママがいるから私はここまで這い上がれた。




ママがいるから私はここまで頑張れた。




「ママだってたまにサボってるじゃん。
ママがサボってるんだからあたしたちだっていいでしょ…いてっ」


「私は他にやることがあるからいないことがあるんだよ。
あんたと一緒にしないでおくれ環」




ママに拳骨をくらった環。
ざまぁみろと笑ってやれば舌打ちされた。




環と睨み合ってると頬に手が触れ、ママの方を向かされた。




「今日も綺麗よ、黒百合」


「ん、ありがとママ」




こうやって額と額を合わせてママと見つめ合うのはいつもの日課となってる。




この言葉が私を奮い立たせてくれる。



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