あなたのために。-光と影-
「…仕事行ってくる…」
眠った百合の唇に長いキスをする。
触れるだけの長いキス。
唇を離すと百合の頭を撫でて、寝室を後にする。
居間に戻ればニヤついた白兎がソファに座っていた。
「随分と長かったですね、楓?そんなに離れたくないですか?」
からかってやがる、こいつ。
チッと舌打ちをしてスーツのジャケットを身に付ける。
吐くは眼鏡を押し上げてソファから立ち上がった。
「そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。薬は楓が仕事から戻る頃に切れるように調合してありますから。彼女は逃げられませんよ」
黒い笑みを浮かべる、白兎。
こいつだけは敵に回したくねぇな。
カッコつけて決めポーズをしてる、白兎に一発蹴りをいれて部屋を出る。
白兎はしばらくして俺の後についてきた。
でもまだ蹴られたケツを押さえてる。
「にしても女嫌いの楓がこんなに溺愛する女性に出会うとは驚きですね」