あなたのために。-光と影-
それにしても奴の部屋は広すぎる。
ホテルのスウィートルーム並みの部屋数に広さがある。
ちょっと歩き回っただけでクタクタに疲れた。
黒いソファにドカッ奴みたく大胆に座ってみる。
壁に立て掛けてある時計を見ると、針は6時を差していた。
6時はもうあのクラブ「胡蝶」の開店時間だ。
ママも環もきっと働いてるんだろうな。
環の顔を思い浮かべると環のことを思い出した。
そうだ、環に会いに行って一言巻き込んでごめんと言おうと思ってたんだ。
奴に軟禁されて、外に出られなくなった。
でも今なら奴はいない。
逃げるなら今しかない。
奴から、この軟禁から逃げ出すなら今しかない。