あなたのために。-光と影-
蓮条楓の考えてることは、さすがのあたしでも分からない。
「…蓮条楓はさっきあの本拠地から出て来たよ、片桐白兎と一緒に。でも姐さんは出て来てない」
弥生は首を横に振った。
やっぱりか。
となるとあの子は軟禁されてる可能性がある。
自分を殺そうとした奴を野放しに出来ないからなのか、それともあの子の魅力に惚れたか。
まぁ、女嫌いで有名な坊ちゃんに限って二つ目はないか。
でも昨日からあの子があの中にいるのは確か。
あたしの部下がずっと後つけて見張ってたんだ、それだけは確かだ。
でもあたしがあの中に入るほどの権力を持っていない。
だから、あの子が自力で抜け出してそれを保護するしかない。
「…篠、弥生、奴の本拠地周辺を徹底的に見張れ。それであの子が出て来たら保護して」
あたしの命令に篠と弥生は了解と一言いって走って行った。
ほんとは中に入ってあんたを助けてあげたいけど、それが出来ない自分に腹が立つ。
待ってて、必ず助けるから。
だから頑張って出てきて…
【side end】