あなたのために。-光と影-
だから皆、私を怖がり態と遠ざかる。
No.1の権力で何されるか、何言われるか分からないから。
ただ単に私が怖いから。
実際、前のNo.1はかなり威張っていて、下っ端にコキを使ったりしていた。
私はそんなことしないけど、この店でNo.1を目指した。
給料がNo.1では他のホステスと愕然と違うからということもある。
でもそれだけじゃない。
絶対的存在になって、奴等に近づき復讐するためにこの店に入った。
私の両親を自殺に追い込み、妹を精神的なストレスで病弱にさせた奴等を殺すために。
絶対に許さない。
あの明るかった普通の家庭に亀裂を入れた奴等を。
明日、奴等の内の1人がこの店に来店する。
奴等の接客ができるのはNo.1・2・3の3人だけ。
私はNo.1だから必然的に奴の接客をすることになる。
ここまで来るのに長かった。
元No.1の現No.2のホステスに生意気だと散々嫌がらせをされた。
先輩ホステスにも嫌がらせを受けてきた。
あんたの存在が邪魔だの、後からのこのこやってきて調子に乗るなだの散々言われてきた。
でももうそれもない。
そして明日の奴への復讐が成功すれば残すは後1人。
「…黒百合ちゃん?」
田中さんの声で我に返る。
田中さんの前でつい考え事をしてしまった。
営業スマイルで返す。
「田中さんから頂いたこのネックレスが可愛くて見惚れてました」
ネックレスを人差し指で軽く持ち上げる。
田中さんは頬を少し赤くして「嬉しいこと言ってくれるね、黒百合ちゃん」と頭を掻いている。