あなたのために。-光と影-




更に激しく私の身体は震え出す。
さすがの奴も私の異変に気付いたのか、「おい、百合?」と言って私の肩に手を置く。




奴の行動一つ一つにあいつが蘇ってくる。




震える身体が止まらない。
私は自分で自分を抱き締めた。




そして奴に触れられたくなくて後ずさる。




「…やめ…て。今の私に…触れない…で」




これは時々あいつを思い出した時に起こる発作のようなものだから。




あいつに言い方の似た、私を見つめる目の似た、奴に触れられたら今の私は更に壊れてしまう。




震える身体を押さえながら必死に声を出しても、奴は私に近づいてくる。




「…おい、しっかりしろ!」




『…おい、しっかり足開けよ』




プツン




私の何かが切れる音がした。




そして私はそのまま意識を手放した。




「百合!?おい、小夜(さよ)!」




奴が私の教えた覚えのない本名を口にするのが聞こえた。




でも私はそれに答えることなく、その場に倒れた。



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