あなたのために。-光と影-
ちょっと褒めれば頬を染める。
田中さんは褒められてどんどん調子に乗る人。
だから、
「こんなので喜んでくれるなら、もう一つプレゼントするよ」
と言って机に置いたのは薬の入った袋。
私は営業スマイルで田中さんに営業でのスキンシップ。
「ちゃんと持ってきてくれたんですね。ありがとうございます。
今度私からお礼させてください」
田中さんの胸に頬を当てる。
これでほとんどの客を手に入れて来た。
元No.1のあいつからも。
私に嫌がらせをした先輩ホステスからも。
私がヘルプに入って元No.1と先輩が戻ってきた時には私の客になってる。
そうして客に気に入られ、No.1を手に入れた。
その努力が明日発揮される。
準備は既に整ってる。
後は明日を待つだけ。
必ず成功させて、この復讐を終わらせる。
お父さん、お母さん、そして病気で苦しんだ妹のためにも。
この時私は明日の出来事が、明日のあいつとの出会いが、私の人生を大きく変えることになることをまだ知らなかった。
余裕で自信のある私には気づくことはなかった。
当日になるまでは…