あなたのために。-光と影-
愛しい
そして長く深いキスがちゅっと音を立てて終わった。
思うように息が出来なくて、肩で息をする。
奴は妖艶に濡れた唇を手で拭った。
それを朦朧とする意識の中見つめた。
何でいきなりキスなんて…
私に同情でもしてるの?
女嫌いの奴が私に同情なんてする訳ない。
じゃあ…
「…な、何で…い、いきなりな、にするの…」
息がまだ落ち着かなくて言葉が途切れ途切れになってしまう。
奴はどこか色気のある目つきで私を見つめている。
「…まだ気付かねぇのか?」
何に気づいてないっていうの?私が。
そもそもあなたのことなんて気付くこともしたくない。
息が落ち着いてきた。
乱れた黒いワイシャツを整える。
その仕草だけで奴の目が物欲しそうにしてるのが分かる。
すると奴の口から有り得ない言葉が出てくる。