あなたのために。-光と影-





翌日。
ついに奴が来店する日がきた。




いつもより早めに店に入る。
相変わらず皆からは避けられ、怯えながら挨拶される。




いつもは小声でも挨拶するけど、今日はそれどころじゃない。




更衣室に入るといつものあいつが煙草をふかして壁に寄りかかっていた。




「…こんばんは、黒百合さん?」




ニヤリと笑って私を見る環に腹が立つ。
いつもどこか余裕な表情を浮かべている。




私の姿を見たキャバ嬢達は、そそくさと更衣室から出て行く。




環をじっと睨んで、昨日とは違う黒いドレスに着替え始める。




ドレスは昨日と似てるけど、今日のは左側が切れていて脚が見える昨日より露出の多いドレス。




着替える私をじっと見つめる環を鏡越しに睨む。
何見てるのよ?という目で睨む。




私の考えが伝わったのか環は、更に口角を上げた。




「何見てるかって?別に意味はないよ。ただいつもより露出が多いなって思っただけ」




口から煙草の煙を態とらしく「ふぅ〜」と言いながら吐く。




何で今日は力を入れているか環は知ってる。
復讐の日だと知ってるくせに態と聞いてくる。




…腹黒い奴。




軽くため息をついてメイクをし直す。
環は煙草を携帯灰皿に潰して、また新しい煙草を出している。




環はヘビースモーカーだ。
まだ私と同じ16歳だというのに、中年男と同じくらい煙草を吸う。




吸ってかなきゃやっていけないのよ、環曰く。




女子高生が親父くさいこと言うなといつも私がツッこむ。



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