あなたのために。-光と影-
そんな環が新しい煙草を吸いながら顔を天井へ向けた。
「…今日来るのって2人の内どっちの方だっけ?」
これも知ってるくせに態と忘れたように聞いてくる。
このセリフ何回言ったことか。
「…若頭の方」
ボソッと言うと環は「あー!思い出したわ!」と一言。
それがまた態とらしい。
確認のためにしても聞き過ぎだ。
今日が来るまで5回は言った気がする。
いや、それ以上か。
そんなことを考えているとメイクも終わり、準備万端。
そして田中さんに用意してもらったある"物"を胸の谷間に入れる。
「…それであたしは言われた通りにやればいいんだね」
腕を組み、環は煙草の煙を口から吐く。
私はネックレスを付けながらコクリと静かに頷く。
環は腹黒いけど、何でも協力してくれてなんだかんだ優しい。
でも今回のは確実に環を危険に晒してしまう。
私の復讐のために自らの危険を顧みずに協力してくれなくても…