あなたのために。-光と影-
せっかく7時に起きたのに、奴のせいで起きたのは結局10時過ぎ。
また冷めてしまった白兎さんが作った朝食を、向かいに座る奴と一緒に食べる。
洗面所に顔を洗いに行ったら、首筋の赤い跡を見てため息をついた。
せっかく消えてきたのに、またつけられた。
ただ顔を洗いに起きただけなのに、何でそこまで気にするかな。
逃げるなら奴が不在の時に逃げるのに。
でも最近は眠ってしまうから、中々逃げられない。
いつも昼間は起きてるのに、何故か奴に閉じ込められてから眠くなって寝てしまう。
しかもいつも奴に抱き締められてたり、触れられてたりしてる時に限って眠くなる。
もしかして奴の温もりが心地いい、とか?
ないないないないないない!
慌てて自分の甘い考えを遮るように、ご飯を箸で何回も刺す。
奴の目が鋭くなって私のご飯をじっと見てる。
私は平常心を取り戻そうと一つ咳払いをして、普通に朝食を口にする。
奴はククッと笑っていた。
私は奴を睨みながら席を立ち、食器を片付けた。