あなたのために。-光と影-
ありがとう、でもごめんなさい
【side 白兎】
「…このように最近ごく小さな族ですが、蓮条組を潰そうと目論んでる大馬鹿者が増えてきております」
蓮条組の重鎮とされる風間さんを中心にして、最近の族の動きを楓に報告している。
風間さんの特徴はスキンヘッドにサングラスをしていて、いかにもヤクザオーラを出していて…って肝心なのは風間さんの外見じゃない。
「…楓、ちゃんと話聞いてます?
そして何故眠っているくろゆ…小夜さんがここに」
「…あ゛?」
「あ、いえ。なんでもありません」
楓の喧嘩腰には痛い目を見るのは目に見えているため、これ以上何も言わない。
楓は私の薬によって眠っている小夜さんを膝の上に乗せ、風間さんの報告を聞いている。
でも小夜さんの髪を指に巻きつけたり、瞼にキスを落としたり、本人は小夜さんに夢中になっている。
この前はベッドに寝かせてきたのに。
その違いからすぐに分かった。
何かいいことがあったのだと。
「それでそれで!?
このちっさな族は俺がボコボコにしていいわけ!?」
陽に至っては族を潰すことしか考えていない。
蓮条組の未来が危うい気がした。
「つ、続きを話しますね?」
「…すみません。お願いします」
さすがの風間さんも苦笑い。
そんな風間さんに代わりに私が謝る。