陰陽師見習いやってます!

不思議な本


ああ、今日もいい天気だな。
高坂みこと(たかさかみこと)は、そう思いつつ学校へと続く憂鬱な道を歩いていた。
すると、後ろから可愛い声が聞こえてくる。

「みことちゃーん!」

みことは後ろを振り返る。
そこには幼馴染、天司雛(あまつかさひな)がぶんぶんと手を振りながらこちらへやってきていた。

「みことちゃん、おはようございますです!」

雛はみことの幼馴染で、近所で一番大きな神社の神主の娘だ。
高坂家とは古い関係らしく、よく一緒に遊んでいた。

「おはよう、雛」
「はい!みことちゃんは今日も素敵ですね!」
「はは、そんなことないよ」

雛はそれはそれは可愛らしい。
綺麗な黒色で、腰辺りまである長い髪、
目はぱっちり二重で、鼻筋も通っている。
そして背が低い。
性格も困っている人をほっておけないような性格で、周りの男子からも評判がいい。
勿論女子からも大変可愛がられており、まさに学校のマドンナだ。

「あ、雛。そう言えば昨日告白されてるけどどうだったの?」
「え?ああ、フッちゃいました!」
「ええ……勿体ない。サッカー部のエースくんだったんだよ?」

そんな雛は彼氏を今の今まで作っていない。
よく告白されているのに付き合っていると言う話は聞いたことがないのだ。

「いいんです!私好きな人がいますから!」

理由を聞くといつもこんな返事が帰ってくる。
好きな人がいる、好きな人とはいったい誰なのかと聞いても答えてくれないので知らないが、きっと息を呑むような美少年なんだろうなと勝手に想像しているのだ。

「雛はいつもそれだね。一途なんだね、雛」

雛に向けてそう笑ってやると、雛はずきゅぅんっ!と不思議な言葉を放って後ろに倒れそうになった。
……どうしたんだろ?

「……雛?」
「はぅ……なんでもないのですよみことちゃん……いきなりの笑顔は反則ですぅ」

雛はふらふらと学校まで歩いて行ってしまった。
……いったいなんだったのだろう?

雛の謎の行動を不思議に思いながらも
みことは学校に向けて歩を進めた。







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