僕らの秘密
確かに彼女は魅力的な女性とは言いがたい。容姿が十人並みなうえに、可愛げのないお堅い女。
けれど、そんな平沢琴美にも一つだけ柔らかなところがある。それは、髪の毛だ。茶色いバレッダで後ろに一まとめにしただけのロングヘアーは、実は絹糸のように滑らかで柔らかい。てっぺんから指先で梳くと一度も絡まることなく毛先まで通過する。
執拗に髪の毛を触ると、彼女は鉄化面からただのか弱い女になる。何度も何度も繰り返すうちに、か弱い女から淫らな女に変わる。
けれど、そんなことはこの会社の人間は誰も知らない。僕以外は。
僕の視線を感じ取ったのか、彼女がふとパソコンから顔をあげた。にっこりと微笑むと、彼女は軽くお辞儀してまた下を向いた。西日に照らされた彼女の頭上にはいくつもの天使の輪が浮かび、輝いていた。
けれど、そんな平沢琴美にも一つだけ柔らかなところがある。それは、髪の毛だ。茶色いバレッダで後ろに一まとめにしただけのロングヘアーは、実は絹糸のように滑らかで柔らかい。てっぺんから指先で梳くと一度も絡まることなく毛先まで通過する。
執拗に髪の毛を触ると、彼女は鉄化面からただのか弱い女になる。何度も何度も繰り返すうちに、か弱い女から淫らな女に変わる。
けれど、そんなことはこの会社の人間は誰も知らない。僕以外は。
僕の視線を感じ取ったのか、彼女がふとパソコンから顔をあげた。にっこりと微笑むと、彼女は軽くお辞儀してまた下を向いた。西日に照らされた彼女の頭上にはいくつもの天使の輪が浮かび、輝いていた。