一口チョコレート


「どこいくの。」


もはや、笑われるとか気にならなくなった私。
ぶっきらぼうに尋ねれば

「んー。居場所」

秘密事をするみたいに二ィって笑って
歩くスピードを早くしたソイツ。

「居場所?」

「そ。泣き虫にひとっつ教えてやろうと思って。



無いものは作りゃあいいんだよ」


「なにもしらないくせに。」

作ればいい、なんて、さらっと言えるのは
幸福者だけだ。
ちょっとやさぐれた心を口調に出せば


「お前の事は知らねぇけど…


俺の知ってることをお前に教える事はできる。」



笑ってるかと思って見上げたソイツの顔は
笑ってなんかなくて大真面目だった。


< 6 / 28 >

この作品をシェア

pagetop