一口チョコレート
「どこいくの。」
もはや、笑われるとか気にならなくなった私。
ぶっきらぼうに尋ねれば
「んー。居場所」
秘密事をするみたいに二ィって笑って
歩くスピードを早くしたソイツ。
「居場所?」
「そ。泣き虫にひとっつ教えてやろうと思って。
無いものは作りゃあいいんだよ」
「なにもしらないくせに。」
作ればいい、なんて、さらっと言えるのは
幸福者だけだ。
ちょっとやさぐれた心を口調に出せば
「お前の事は知らねぇけど…
俺の知ってることをお前に教える事はできる。」
笑ってるかと思って見上げたソイツの顔は
笑ってなんかなくて大真面目だった。