SPRING SNOW~春の雪(はるのゆき)~
~Mireiside~


「ね、桜井 奈津美呼んでくれる?」

奈津美のクラスの入口にいた子たちに声をかける。

「どうしたの?美麗。」

「さっきのあれ、桜井にバレンタインデーで返させるつもりでしょ?」

「さすが、美麗。私は別に返すよ。」

「あの子のことだから、どうせ秋さんとこの新作とかいうんでしょうね。」

「ああ、駅ビルの?」

「そうそう、あそこの新作は必ずチェックしてるからさ、雪は。」

「はる、今までこういうことしたことないから。バレンタインデーとか義理だったしね。」

「本命もらったことないの?」

「『ちゃんと断らないと相手にも失礼だから』って。それでも毎年本命で作ってくる子はいるらしいけど、あいつは義理しか受け取らなかったわね。」

「桜井らしい。」

「美麗は真鍋から何もらったことあるの?」

「えー、なんかネックレスとか。」

「意外なんだけど…そういうのわかるんだ。」

「お姉さんがいるからさ、静夜は。雪と一緒。」

「あ、雪都さん。」

「そうそう。」

キーンコーンカーンコーン

「やばっ。これ本鈴じゃん!」

「あ、奈津美!さっきのことは…」

「雪には内緒でしょ!分かってるって!」

「うん、よろしくね!」
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