大好きなんです
片思い中です



あたしの名前は桃園 萌(モモゾノ モエ)、高校二年生です。


特にこれと言った特技もなく、至って普通な女子高生。


顔も普通、頭は、多分そこまで悪くないと思う……


恋だってしています。


片想いだけど。



あたしの片想いの相手、それは……










―――――――――――――――――
―――




「萌!」


「ゆっちゃん、おはよう」


「おはよ」



にこっ、と笑顔で挨拶をしてきたのは小さい頃から大の仲良しの相田 夕希(アイダ ユキ)ちゃん。

あたしはゆっちゃん、と呼んでいる。



「また見てるの?」


「えっ、なんで分かったの!」


「萌の顔見たらそりゃ分かるわよ」



分かりやすいもの、と呆れた顔をするゆっちゃん。


あたしは恥ずかしくて俯いてしまう。



「ほんと、好きだよねー……霧谷のコト」


「うっ……」



カアァっ、と顔が赤くなるのを嫌でも感じてしまう。


ゆっちゃんはそんなあたしを見てケラケラと笑う。


もぉ、他人事だと思って……!




あたしの片想いの相手、それは同じクラスの霧谷(キリヤ)くんだ。



「霧谷ねー…あたしにはよく分からない人種だわ」


「人種って……」



ゆっちゃんは去年も霧谷くんと同じクラスだったらしい。


……あたしは今年からなのに。



「萌さー、霧谷のドコがいいのよ?」


「え?えーっと……」



うん。ゆっちゃんの言いたいことは分かる。


霧谷くんは、その…見た目は凄く地味だ。


校則の緩いこの学校のほとんどの人は髪を明るい色に染めている。


なのに霧谷くんは真っ黒な髪を目が隠れるぐらい長く伸ばしている。


おまけに眼鏡をかけていて……絵に描いたような地味男。



でも………





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