大好きなんです



というか……


俺はちらりと優に視線を向ける。


こうして見ると本当に女みたいなんだよな。


本人は趣味だって言ってるけど、実際はどうか……


両親もこういうのに寛容だし。


自分の息子のこと気にしないのか?



…………それはないか。


むしろうるさいぐらいだし。



「いっただきまーす……うまっ!!」



俺の視線には気づかずに、優は美味しそうにケーキを食べる。



「これうまい!!兄貴が買ってきたの?
どこのお店?」



それだけ喜ばれると俺まで嬉しくなるな。


自然と笑みを浮かべる顔。



「それ、萌の手作り」


「……まじ?」



ぽかーん、とした顔で俺を見る優に思わず笑いそうになる。



「へぇ……萌サンって料理上手いんだ」



他の手料理も食べてみたい、と言う優に心の中で少し優越感に浸る。



「そういえば兄貴、このケーキと言いその時計と言い、もしかして萌サンに誕生日でも祝ってもらった?」


「まぁな」


「なるほど。相変わらず、らぶらぶだねぇ〜」



俺を見てにやにや笑いながら、優はキッチンにケーキの皿を出しに行った。


すぐに戻ってきたあたり、洗ってはないな。


どうせ今日の片付けは優だから、俺には関係ないが。



「んじゃ兄貴。二人のらぶらぶっぷりをボクにもよく聞かせてよ」



キラキラと期待に満ちた目で見るが……



「却下」


「えぇ〜〜〜」



なんでわざわざ優に教えなきゃならない。


……これ以上の面倒ごとは避けたい。



「俺、自分の部屋にいるから」


「あっ、逃げんのかよ兄貴〜」



優の言葉を無視して、俺は飲み物だけを持って階段を上がる。



「もしかして、今日のことは二人だけの思い出にしておきたいとか〜?」


「うるせーよ」



そう言って俺は扉を閉めた。











「ありゃりゃ、図星……」



くすくすと笑ってボクはウィッグを外す。



「兄貴も人の子だねぇ。独占欲丸出しじゃん」



だからこそ気になる今日のこと。


あの様子じゃ話してくれそうにもないけど。



「仕方がない」



今回は諦めるか、と苦笑していたことを、流は知らない。





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