大好きなんです



「あ、あ、……あの……っ!!」



口をぱくぱくさせる萌に俺は妖艶に笑って言う。



「仕方ないよね、強行突破になっても」


「きり、」



そして、俺は萌にキスをした。


一度目は軽く、二度目は深く。


舌を絡めると、慣れていないながら一生懸命についていこうとする萌。


そんな萌が愛しくてたまらない。



「……はぁっ、き……や、く…っん……」



キスの隙間に洩れる萌の甘い声。


萌の体から力が抜けていく。



そろそろいいか……


頭の片隅に残っていた理性を使って萌の手を離す。


そしてそっとカーディガンに手をかけた。


キスに注意がいっているからか、萌はカーディガンを脱がされているのに気づいていないみたいだった。


脱がせ終わって、萌も限界っぽく見えたので唇を離す。



「、はぁっ……はぁ…」



大きく息を吐いた萌に大丈夫?と聞くけど、萌はぼんやりとした目で俺を見る。


その瞳は少し潤んでいた。



「だ、いりょうふ……えす」



呂律が回ってない。



「大丈夫じゃなさそう……ごめんね」



ちょっとやりすぎた、かも。


そっと手を差し出すと、萌は自分の手を重ねた。


小さな手を引いて、その体を胸の中に収める。


いつもは顔を真っ赤にして慌てる萌だが、今日は逆に俺の胸に頬を擦り寄せる。



……レアだな。


笑みを浮かべて背中に手を回して抱きしめようとして、その手が止まる。



萌が嫌がってた理由、これか……


柄にもなく少し顔が熱くなる。


今の顔、萌に見られなくてよかった……



「はぁ……」



つい、ため息が洩れてしまう。



……そういえば、とふと思う。


相田はともかく、陸真もなにかしらで関係してたよな。


と、いうことは……





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