大好きなんです
冬
クリスマス前編
「寒いぃ……」
はぁ、と悴んだ手にあたしは息を吐いた。
「萌は寒がりよね〜」
「うぅ……ゆっちゃんは寒くないの?」
「萌ほどじゃないけど寒いわよ?」
それにしては普通に見える。
ズルいよぉ……
むすっとするあたしに、ゆっちゃんはくすくすと笑った。
季節は冬。
もう少しでクリスマスの時期。
最近は買い物に行くと目に映る全てがクリスマス一色で、自然とウキウキした気持ちになる。
「ふふっ……」
「どうしたの?」
「んー?」
にこ、と笑って隣にいるゆっちゃんを見上げると、不思議そうな顔を向けられる。
ゆっちゃんって、意外にこういう行事に関心持たないからなぁ。
「もうすぐクリスマスだよ?ゆっちゃんは楽しみじゃないの?」
「……普通かしら?」
そう言いながら、ゆっちゃんはぷいっと顔を前に向けた。
その顔はほんのりと赤くなっていて……
「ゆっちゃん、もしかしてクリスマスは峰くんと過ごすの?」
「なっ……!」
次第に赤くなっていくゆっちゃんに、あたしはくすりと笑みをこぼした。
「ふふっ……ゆっちゃんかわいいっ!!」
「っ……」
照れるゆっちゃんにあたしはにこりと笑顔を向けた。
ゆっちゃんと峰くんは最近付き合い始めたみたい。
もちろん告白は峰くんから。
だいぶ前から告白はしていたみたいだけど……
延ばし延ばしになって、やっと峰くんの恋は叶った。
ゆっちゃんもなんだかんだ言って幸せそうで。
……本音を言えばちょっと寂しいけど、ゆっちゃんの幸せそうな顔を見てると、まぁいっか、という気持ちになる。
うーん……いつも思うけど、やっぱりあたしは単純だなぁ。