大好きなんです
そんなあたしの考えを読んだみたいに、霧谷くんはくすり、と笑った。
「今日は夕方まで仕事で親はいない。
ついでに優も友だちと遊びに行ってる」
「でも……」
いいのかな?と迷っているあたしに、霧谷くんはそっと手を伸ばした。
頬に触れる霧谷くんの手はほんのりと温かくて、無意識の内にその温もりにそっと身をゆだねてしまう。
……はっ!!
あたし、今何を……!?
いくら寒くて堪らなかったとはいえ、霧谷くんの手に……!
恥ずかしくて思わずカアァ、となるあたしに、霧谷くんはくすくすと笑った。
うわぁ……恥ずかしいよぉ………
ぎゅうっと目を瞑ると、霧谷くんの気配が近づいているような感じがして。
「……かわいい」
「あ、ぅ……」
耳元で直接囁かれた甘い響きを持った言葉に、あたしは口をパクパクして霧谷くんを見つめた。
そんなあたしの頬に軽くキスを落として、霧谷くんはあたしの手を包んだ。
「行こ。そんなに寒そうな萌見てられないし」
「う、ん……」
繋がれた手が、あったかい。
もしかして、霧谷くんが家に寄ってく?って言ってくれたのは、あたしのため……だったりするのかな?
だとしたら、すごく嬉しい。
やっぱりまだ寒いけど、繋がれた右手とあたしの心は、ポカポカとあったまっていった。
「ありがとう、霧谷くん……大好き」
小さな声で呟いたから、霧谷くんには聞こえてないかな。
でもその瞬間、きゅっと繋いでいた手に力が入ったような気がして笑みがこぼれた。