大好きなんです
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「お、お邪魔しまーす……」
「はい、どうぞ」
霧谷くんに手を引かれて、あたしは家の中に入った。
何回かお邪魔しているとはいえ、やっぱり緊張しちゃうなぁ。
「今暖房付けるから」
「う、うん。ありがとう」
リビングに入ってマフラーとコートを脱ぐ。
うぅ……室内だけど、やっぱり寒い。
でも風がないから外よりはやっぱり温かい、かな。
「着替えてくるからちょっと待ってて?」
同じようにマフラーを脱いでいる霧谷くんに分かったよ、と返事をしてあたしはソファに座った。
うっ……座った瞬間の足に伝わるひんやりした感じが苦手なんだよね。
タイツ履いてるからそこまで顕著ではないけど……
早く春にならないかなぁ。
暖房が効いて温かくなった頃、霧谷くんがリビングに戻ってきた。
「ごめん、遅かった?」
「そんなことないよっ」
よかった、と安心したように笑う霧谷くんにドキッと素直に心臓が鳴る。
いつも思うけど、霧谷くんの私服ってかっこいいなぁ。
今日は白いシャツに黒のカーディガンとシンプルなジーンズ。
うん、霧谷くんっぽい。
「萌、お腹空かない?」
「え?」
そういえば、もうお昼だったなぁ。
「ちょっと空いてるかも……」
自覚した途端お腹が鳴りそうになる。
うぅ……お願いだから鳴らないでね。
「出前でもとる?」
こてん、と首を傾げる霧谷くんに見惚れてはっとなる。
「そ、そんな!悪いよ……」
家にお邪魔している上に出前なんて……!
「だったら、萌が何か作ってくれる?」
うーん……出前よりはいいよね。多分。