大好きなんです



「霧谷くん、何が食べたい……?」



あ、この台詞前にも言ったなぁ、と思ってくすっと笑みがこぼれる。



「どうしたの?」


「なんでもないよ?」



ふふっ、と笑うあたしに少し不思議そうな顔をしたけど、霧谷くんは何も言わなかった。



お昼は霧谷くんのリクエストでオムライスにすることに。


ご飯もあるし、冷蔵庫を覗くと材料もあるし……


うん、大丈夫!



「じゃあちょっと待っててね」


「手伝う?」


「大丈夫だよ。霧谷くんは待ってて?」



にこり、と笑ってあたしは人参と玉ねぎを切り始めた。






約十分後。



「霧谷くん、できたよ〜」



パタパタとオムライスを持っていってテーブルの上におく。


うん、自分でも結構上手くいったほうだと思う。


作ってるときは失敗しないかドキドキだったけど、成功してよかったぁ。



「ん、おいしそう」


「そう、かな?」



霧谷くんにも褒められて頬が緩む。


うぅ……あたしって単純だなぁ。


でもやっぱり好きな人に褒められるのは嬉しいな。



「食べていい?」


「あ、うん!」



いただきます、と言って霧谷くんはオムライスを一口食べる。


き、緊張する……


前に食べてもらったときも緊張したけど。



「ど、どう……?」



おずおずと聞いてみると、霧谷くんはくすりと笑った。



「おいしいよ」


「本当?よかったぁ」



ほっとするあたしに霧谷くんはくすくすと笑い続ける。


な、なんでそんなに笑うの?


きょとん、とするあたしに霧谷くんは笑いながら口を開いた。



「なんでそんなに緊張するの?」


「だ、だって……おいしくないって言われたらショックだし……」



どうせ食べてもらうなら、おいしいって笑顔になってもらいたいもん。


それが、好きな人なら尚更……





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