大好きなんです



「俺は、萌が作ったものならなんでもおいしいけどな」


「へっ?」



さらり、と言って霧谷くんはオムライスをぱくっと食べる。



い、今霧谷くん……


あたしの作ったものならおいしいって……


ぅ、わぁ……どうしよう。


お世辞だとしてもすごく嬉しい。



「食べないの?」



冷めちゃうよ?と顔を覗きこむように言われてはっとする。



「た、食べます……」



あたふたとオムライスを食べるあたしを、霧谷くんは楽しそうに見る。


み、見られてると食べにくい……


でも霧谷くんは先に食べていたせいか、もう食べ終わっていて。


うぅ……なんだか恥ずかしい。



「ご、ごちそうさまでした……」



恥ずかしさを感じながら、なんとか最後の一口を食べ終わる。



「片付けは俺がやるね」


「え、いいよ。あたしが……」


「萌は作ってくれたでしょ?これくらいはさせてよ」



そこまで言われると断れなくて……



「じゃ、じゃあ、よろしくお願いします」



食器を洗う水音を聞きながら、あたしはソファでソワソワしてしまう。


だ、だって人の家にお邪魔してるのに、こんな……


ヘンな罪悪感を感じてしまう。



「萌?」


「ひゃいっ!」



ばっと口を押さえる。


きゃああぁ〜〜〜っ!!


びっくりして噛んじゃった!



かっ、かなり恥ずかしいぃ……



カアァ、と熱くなる頬を感じながら振り向くと、霧谷くんがくすくすと笑っていた。



「ご、ごめんなさい、びっくりしちゃって……!!」


「俺も、いきなり声かけてごめんな?」


「き、霧谷くんは何も悪くないよっ」



あたしが勝手にびっくりしただけだし……



「それで、何かな?」


「ん?あぁ、俺の部屋行っててくれるかなって」



暖房ついてるし、あったかいと思うから、と言われて、あたしは荷物を持って霧谷くんの部屋に向かう。




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