大好きなんです
いつまでも離れようとしないあたしに、霧谷くんはキスをするのをやめた。
ほっとしたのもつかの間。
「きゃっ!!」
力が抜けた一瞬であたしの手は霧谷くんから離れた。
そしてベッドに押さえつけられる。
「やっと顔見れた…」
「……っ」
あたしの目に映るのは、部屋の天井と霧谷くんの綺麗な顔だけ。
ひゃあぁ、と内心パニックでカアァ、と顔が赤くなる。
「ねぇ、さっきの何?」
ドキッと心臓が跳ねる。
「あ、の……えと………」
な、なんて言えば……
夢と間違えました、と言うのはかなり恥ずかしい。
夢と間違えていたのももちろんだけど、あたしがいつもこんな夢を見てたなんて思われたら……
く、口が裂けても言えないっ!!
何も言わないあたしを見て、霧谷くんは少し不機嫌そうに眉を寄せる。
「まさか、人違いで抱きついたりした?」
「へ?」
きょとん、としたのも一瞬。
霧谷くんの言っている意味が分かって慌てて首を振った。
「ち、違うよっ!」
誤解されたままなんて嫌。
それに、霧谷くんの悲しそうな顔なんて見たくないっ。
「あたし、霧谷くん以外にこんなことしないもん。
相手が霧谷くんだったから、したの……!
だって霧谷くんのこと大好きだもん!
こ、これもほんの出来心で、甘えたいというか、ただぎゅってしたいなって思っただけで……っ」
はっ!!
あたし何言って……
ジワ、と頬が熱くなる。
うぅ……恥ずかしい……
霧谷くんは最初驚いたように目を見張って、ふっと笑った。
その笑顔がなんだか妖艶で、つい見惚れてしまう。