大好きなんです
バレンタイン 前編
「萌って、変わったわよね」
「……はへ?」
ポロ、とあたしの箸からお弁当のウインナーが落ちた。
冬休みが明けてまだ少ししか経っていない頃。
あたしとゆっちゃん、そして流と峰くんの四人で空き教室でお昼ご飯を食べていた。
「ゆ、ゆっちゃん?」
「なんか、こう……なんて言うの?雰囲気が変わったような……」
「え?え?」
ジロジロと遠慮なく見てくるゆっちゃん。
うぅ……恥ずかしいよぉ。
「気のせいじゃないかなぁ?」
この冬の間、特に何かをしたわけでもなかったし……
いつもはお正月太りしてたけど、今年はそうならないように気をつけていたせいか体重もキープできている。
髪の毛も、いじってないよね。
「んー、ね、陸真もそう思わない?」
「確かに……」
言われてみれば変わったよね、と言われてあたしは首を傾げる。
だって自分ではよく分からない……
「なんて言うか、パステルピンクがチェリーピンクに変わった、みたいな?」
「ゆっちゃん、例えが分かりにくいよ」
それじゃあ何が変わったのか分からないよぉ……
「や、でも意外にそんな感じ」
「え!」
峰くんまで……
あたし、何が変わったんだろう。
パクリとご飯を口に入れてお弁当を片付ける。
その間にもゆっちゃんと峰くんは話してるけど、何が変わったのか分かるかなぁ。
「流は分かる?」
ちょこん、と流の隣に行って聞いて見ると微笑んだだけで。
うぅ……この顔は流は分かってるんだ。
なんだろう……
気になるなぁ。