大好きなんです




い、色気って、あの色気、だよね?


あの、なんか大人の人が醸しだすあの色気?



……あたしが、その色気を?


ポカーン、とするあたしにゆっちゃんが口を開く。



「つまり、ね。萌に色気が出てきたってことよ」


「……うそ」



自分じゃあ全然分からない……


そんなの出してるのとかも自覚なんてないし、信じられないよ。


それにあたしってお世辞にもお、大人っぽい、とかないし……二人の気のせいじゃないのかな。



「そうなんだよ。でもそれって桃ちゃんだけじゃなくてさ、実は流も……」


「え。霧谷も?」


「そ。色気っつうかフェロモンっつうか、家で駄々漏れなんだよ」



だから桃ちゃんの変化も分かったんだよ、と言う峰くん。



「でも今の霧谷見ても前と全然変わらないように見えるけど?」



あたしもゆっちゃんの言葉に頷く。


確かに、あたしの目から見ても流は普段通り。


変わったところというと……


う、あたしが意識しちゃうってことだけだよぉ。


でもこれはあたしだけだから!


今は気にしちゃダメっ!!



「流はそういうの隠すの得意だからな」



じゃなかったらこんなあからさまな変装とかとっくにバレてるだろ、と峰くんは言う。


なんでも流にはイケメンオーラが溢れてるらしい。


うーん、分かるような分からないような……


でもあたしの目からは流がキラキラして見えるから、それがオーラというやつなのかな、と思ったり。



「じゃあさ霧谷。萌が全然自分に色気があるってこと自覚してないから教えてあげてよ」


「え?ゆ、ゆっちゃん?」



いきなり何を……



「陸真の言う"色気"を霧谷が萌に見せれば少なくとも色気については分かるでしょう?」


「え、夕希それはやめた方が……」


「なんで?」



きょとん、とした顔をするゆっちゃん。


でもあたしもどうして止めるのか不思議だから峰くんを見る。







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