大好きなんです




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「ううぅ……」


「萌、ヘン」


「流のせいだよぉ……」



分かってるくせに!と、じとりと流を軽く睨む。


でも効果はさほどないらしく。


くすくすと笑いながら流はあたしの頭を撫でる。



「でも俺があんなことしなくてもあいつらなら分かってたと思うけど?」


「うっ、まぁ……」



否定はできません。


だってゆっちゃんから分かってたって聞いちゃったもん。


それもかなり前から気づいてたって。


だったら言ってくれればいいのに……


言わなかったあたしが悪いのかもしれないけど。


でも恥ずかしかったんだもん。


むむっ、としながらあたしは頭を流の胸元に預けた。



今は放課後で、あたしは流の家にお邪魔している。


クリスマス以来だからちょっと久しぶりだったりする。



そういえば、あと少しでバレンタインだなぁ。


ゆっちゃんにそう言ったら、萌は気が早いって言われちゃったけど。


もちろん今年は流にあげるつもり。


ゆっちゃんや峰くんにも友チョコをあげる予定ではあるけど。



楽しみだなぁ。


自然と笑顔が浮かぶあたしに、流はくすりと笑う。



「そうだ!流はどんなチョコが欲しい?」



サプライズもいいけど、せっかくなら流が好きなものをあげたいな。


と思って聞いたんだけど。



「萌の作ったものならなんでもおいしいよ」



チョコよりも甘い台詞に思わず顔が熱くなる。


う、嬉しいけど……でも、流が好きなのあげたい!


負けないんだから!!



「な、なんかあるでしょう?例えばクッキーよりはケーキがいい、とか……」



些細なことでいいから!と言ったあたしの顔がかなり真剣だったのか。


流は笑いながらケーキがいい、と言った。



「あと、あんまり甘くないの」


「うん、分かったよ」



流は甘いのあまり得意じゃなかったもんね。


じゃあチョコはビターを使おうかなぁ。







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