大好きなんです




早くバレンタインにならないかなぁ、とドキドキしながら何を作ろうか考える。



「萌」


「うん?なぁに、なが……」



最後の文字は流の唇に塞がれて言うことが出来なかった。


カアァ、と熱くなる頬。


それを見て嬉しそうに笑うんだもん。


流は意地悪だよ……



「俺のことよりチョコのことが大事?」


「だ、だって……流に喜んで欲しい、し」


「でも今は俺といるんだから、俺を優先して?」



その言葉がなんだか拗ねているように感じて、ふふっと笑みがこぼれた。


あたしの思い違いかもしれないけど、流、かわいいなぁ。



「何笑ってるの」


「んー?ふふっ、なんでもないよ?」


「ふーん、萌、余裕だね」



え?と答える前に流に唇を塞がれた。



「んんっ……ふ、ぁ…………」



深いキスにクラクラして、息が乱れる。


潤む瞳で流を見れば、その瞳は妖艶な光を放っていて。


体が、心臓が大きく震えた。



「萌、」



甘く囁いて瞼や頬、首筋や胸元に流はキスを落とす。



「な、がれ……」



あたしはぎゅうっと流の体に腕を回して、流を受け止めた。












――――――――――――――――――
―――――




「相変わらず、こっちが目を背けたくなるぐらいラブラブね、あんたたち」



ゆっちゃんに言われて思わず俯く。


だって、そういう意味なんだろうなぁって予想がついちゃったから……


恥ずかしいよぉ。



「霧谷もちょっとは気にしなさいよ?
分かるところにキスマークつけすぎ」


「わざとですけど何か?」



さらり、と笑顔でそう言う流に、ゆっちゃんは呆れたような視線を送る。



「ほんと、霧谷って独占欲強いわね」


「否定はしません」



そんな会話を普通に教室でする。


あたしには恥ずかしくてできません。





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