大好きなんです
つぶやき
流side
「おっじゃまっしまーっす!!」
バターンッ、と大きな音をたてて部屋の扉が開く。
「うるせー……」
いつもこいつの登場は派手だけど、今日は一段とうるさい。
「ごめんって。そんな怒られないでよ、流クン?」
「キモい」
「ひどー」
ケラケラと笑ってこいつ、陸真は俺のベッドに座った。
「で、何の用?」
「おー、いつもにまして冷たいな。そんなんじゃ桃ちゃんに嫌われるぞ?二重人格の流クン」
「…………」
こいつ、からかいにきたのかよ。
「うるせーな。んなのお前に関係ねぇし」
それに、そんなのちゃんと自覚してるよ。
「まっ、桃ちゃんは流のことダイスキみたいだし大丈夫だろ。早いとこ本性現しちゃえば?」
「……そのうちな」
俺はしていた勉強を止めてペンを机に置いた。
いつもはおろしている前髪は今はあげている。
切りたい、といつも思うが、これがなければもっと面倒なことになる。
「それにしても二重人格だよなー、流。いつも思うけど疲れねぇの?」
「もう慣れたよ」
こっちのがラクだし。
女も寄ってこないし。
「で、いい加減用事って何?」
わざわざ教室で待ってろ、なんて言うんだからそれなりに大事な用なんだろう。
というかそうじゃなかったらキレる。
「いやー…二人見てて焦れったくてさ、桃ちゃんたきつけて流とくっつけようと思って待っててもらったんだけ、ど……って待って、流くん!
謝る!謝るからその辞書おろして!!」
ギャー、とうるさく喚く陸真につかんだ辞書を持つ力を強くした。
「でっでも流、そのおかげで桃ちゃんとくっついたんじゃん!」
「…………」
「今回は大目に見て〜、というか俺のおかげだろ?な?」
にやりと勝ち誇ったように陸真は笑う。