大好きなんです
初めの頃は親しげに話す俺と陸真を見て、クラスメートたちは興味深そうに俺たちを見ていたが、さすがに慣れたようだ。
それもそうだ。
季節は冬、もうすぐクリスマスだ。
俺は帰りの準備をして、図書室に向かった。
今日までに返さなければならない本があったからだ。
昼休みに行きたかったが担任に捕まって、雑用をさせられていて行けなかったのだ。
「あの担任…俺なら文句も言えないと思って……」
地味な俺でも言うときは言うっての。
無事に本を返し終わり、俺はゆっくり階段をおりる。
「きゃーーっ!!」
「ぅえっ、ええぇーー!?」
バサバサバサッ―――――――
ドスッ―――――
………なんだ?
すぐ下の階段から聞こえた、悲鳴と何かが落ちた音。
そっと覗いてみると床にはノートやプリントが散乱し、二人の生徒が重なるように寝転がっていた。
「す、すみません!!大丈夫ですか!?」
上に乗っかるように寝ていた女子生徒が慌てたように立ち上がった。
「う、うん……大丈夫です」
あはは、と少し笑いながら立ち上がる女子を、俺は信じられない気持ちで見た。
彼女だ……桃園さんだ。
「わ……プリント散らばっちゃったね」
苦笑いをしながら桃園さんはプリントを拾い始めた。
「はい」
全て拾い終わるとにこり、と笑って慌てる女子生徒に渡す。
「す、すみません。ありがとうございます……」
「どういたしまして。それ今日提出のですよね?はやく行った方がいいですよ」
「え、でも……」
心配そうに見る女子生徒に桃園さんは安心させるように笑った。
「あたしなら大丈夫。この通り、どこも怪我なんてしてないので」
ひらひらと手を振って怪我がないことを示す。