大好きなんです



「そろそろ戻ろっか」


「うん」



ごはんも食べ終わり、あたしとゆっちゃんは教室に向かった。



「あ、また来てる……」


「ほんとだぁ」



教室を覗くと霧谷くんと隣のクラスの峰 陸真(ミネ リクマ)くんが話をしていた。


これがまた意外で、峰くんは霧谷くんとは正反対の人だ。


金に近い茶色の髪に何個も着けているシルバーアクセサリー。


……なんというか、チャラい人?


話してみると中身は凄くいい人で真面目な人だけど……



あまりにも二人の共通点が思いつかなくて前に聞いてみたら、二人は幼馴染みだったみたい。


……また一つ霧谷くんのことを知れて嬉しい、と思ったのはあたしだけの秘密。



「ちょっと峰ー。あんたまた来てんの?」


「おぉ、夕希ちゃん。お邪魔してまーす」



にっこりと峰くんは人懐っこい笑顔を見せる。


これを見ると、女子に人気があるっていうのも分かるよね。


でもゆっちゃんは峰くんを見て顔をしかめた。


……ゆっちゃんは峰くんのことが苦手らしい。



「霧谷、コイツどうにかしてよ」


「僕にはどうしようもできないですよ。陸真が勝手に来てるだけですから」


「きりやんひどーい。親友なのにぃ」



ケラケラと笑う峰くん。


ゆっちゃんは相変わらず苦い顔をしている。



「まぁまぁ夕希ちゃん、そんな怒んないでよ。今回は桃ちゃんに用事があるんだからさぁ」


「あ、あたし?」



いきなり名前を呼ばれて、片付けようとしていたお弁当箱を落としそうになる。



「そ。桃ちゃん図書委員だろ?放課後、図書室集合な」


「う、うん」


「じゃ」



峰くんは霧谷くんに何か言ってから教室を出て行った。


……あぁ見えて峰くんは図書委員だったりする。


だから伝えに来てくれたのかな。


そういえば、初めて委員で顔合わせしたときびっくりしたなぁ……





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