大好きなんです
「えへへ……」
あたしは一人でさっきのことを思い出して、つい、にやにやしてしまう。
嬉しいなぁ……
霧谷くんにお礼言われちゃった。ついでに名前も。
凄くドキドキしてる……でも、嫌じゃないな、こういうの。
「霧谷くんの声、相変わらず綺麗だったなぁ……」
霧谷くんは教室であまり喋らないからな。
峰くんが来たときは別だけど。
だから名前を呼ばれたのはレアだと思う。
霧谷くんのことを考えながら歩いているとすぐに図書室に着いた。
「……よし」
にやけそうになる顔を抑えて、あたしは図書室の扉を開けた。