大っ嫌いにさよならを
「はぁ、はぁ…。なんで、逃げるのよ!?昨日だって、あんた…男として恥ずかしく…ないっ…の?」
早速、追いつかれた俺。二人して息切れしながら、裏門を出てすぐの地面にへたり込む。
ああ、俺は恥ずかしいよ。高校生にもなって女より走りが遅いなんてな!
これでも中学三年間、バスケ部で鍛えていたし、高校に上がってからもこの前までバスケ部員だったんだ。(ほとんど遊びに近かったけど)
茉莉奈を見ると、ぜぇはぁと苦しそうに呼吸を繰り返していた。
あれ?と俺は思った。前は俺がどれだけ疲れてもこいつは満面の笑顔で学校のグランドを軽く十周するタフな奴だったのに。
茉莉奈も年をとったというわけか?
しかし、ゲホッゲホッと咳までするので俺はついその背中をさすってやっていた。
「へぇ、女の子を労るぐらいには成長したんだ?」
ああ、俺はなんて愚かだ。こんなやつを、一ミリでも心配してやる義理なんてなかったではないか。
すぐに手を離して、顔を背ける。
「…お前はストーカーにでも成り下がったか。とにかく、俺はお前に騙されないからな」