大っ嫌いにさよならを
そして、俺はすぐに立ち上がり、茉莉奈を置いて家に帰ろうとした。
「ちょっと待って!」
こいつはほんとに変わってない。上からの口調と、ふてぶてしい態度と…なんだ、その可愛い上目遣いは。
「あれは、その、別にあんたを騙そうとか、そんなんじゃなくて。ましてや嘘でもないから!」
また、違和感。俺の中の茉莉奈像はとにかくまん丸だった。
ちっこいのは変わらないのに、華奢な身体だし。そのわりには出るとこは出て…って、何を考えてる!?
自分にかるく軽蔑したわ…。なにこの本能まるだしな感じ。
「ねえ、聞いてるの?」
茉莉奈に腕を引っ張られて、俺は適当に相槌をうつ。
…腕、細いな。あんなにぷにぷにしてた手が、こんなに細くなるなんて。
一種の不安がよぎった。こいつ、無理なダイエットのしすぎではないだろうか。
そうか、ダイエットのしすぎによる思考能力の低下のせいで、俺のことが好きだなんて言い出したのか。